関節リウマチ
関節リウマチの概要
多発性の関節炎を主症状とする原因不明の炎症性疾患。
病変は手足や膝関節の疼痛や腫脹から始まり、次第に全身の関節が侵され、関節の変形、疼痛、動揺性が生じ、機能障害をきたす。
関節外の症状:リウマトイド結節、肺線維症、アミロイドーシス、多発性単神経炎等
関節リウマチの頻度
有病率:0.5%
好発年齢:20〜50歳
性差:男:女=1:5
病因
遺伝的因子や環境因子(細菌感染やウイルス感染)
病理・病態
滑膜の異常増殖とそれに伴う骨・軟骨の破壊。
正常の滑膜は、滑膜表細胞と血管を含む結合組織から構成される。
滑膜表層細胞は、A細胞とB細胞にわけられ、A細胞はマクロファージのような破壊、B細胞は線維芽細胞のような再生の役割がある。
関節リウマチでは、滑膜が重層化し、絨毛のようになる。
表層下の間質では小血管の増生を認め、炎症細胞である好中球や形質細胞、マクロファージの浸潤を認める。
これによってA・B細胞ともに活性化され、相互作用により炎症が慢性化すると考えられている。
また、炎症生サイトカインは、滑膜細胞や炎症細胞のアポトーシス(自然的細胞死
)を抑制するため、アポトーシス機構の破綻も滑膜組織の異常増殖の一因である。
パンヌスは、炎症細胞や新生血管を含む滑膜であり、軟骨辺縁から骨組織を破壊する。
関節リウマチの関節外症候
・全身症状
微熱は稀ではない。しかし、38℃以上の熱は感染やStil病を疑う。
・眼症状
上強膜炎:急性に発症し数日〜10日で治癒する。
強膜炎:予後不良
シェーグレン症候群:目の乾き
角膜穿孔:患者が「熱い涙が出た」などの訴えをするため、すぐに眼科を受診させる
・血液障害
貧血:活動生の高い関節リウマチ患者に多い。鉄結合能は低値〜正常。
経過中に急速な貧血の進行を認めた場合は消化管出血を疑う。
・アミロイドーシス
・腎障害
糸球体病変は稀。
蛋白尿の出現は、続発生アミロイドーシス又は薬剤生腎障害を疑う。
・呼吸障害
間質性肺炎が併発しやすく、下肺野に後発し、通常無症候性である。
メトトレキサートの服薬中は薬剤性の急性間質性肺炎を生じる場合があり、休薬とステロイド療法が必要となる。
・心•血管ーリンパ浮腫
関節リウマチに伴うリンパ管炎により、難治性の浮腫を生じる
・神経症状
環軸関節亜脱臼を生じると、しばしば項部痛や脊髄症状が出現。
屈筋腱周囲の滑膜の炎症と肥厚により正中神経が圧迫される手根管症候群を生じる
・骨粗鬆症
加齢、閉経、活動性低下、副腎皮質ステロイド等で骨粗鬆症が進行すると、脆弱性骨折の危険性が生じる
関節リウマチの検査・分類
Larsen分類:関節破壊
Modified Sharpスコア:関節裂隙狭小化と骨びらん
関節リウマチの分類基準(米国リウマチ協会;ACR)
新RA分類基準
関節リウマチのstage分類
Lansbury 関節点数
HAQ
関節リウマチの治療
・患者指導
経過と治療を十分に説明し、不安を軽減させることが治療の第1歩である。
疼痛緩和のためには十分な睡眠、適度な運動、カルシウムや鉄分が豊富でバランスのとれた食事が大切である。腫脹や疼痛の強い時には局所の安静と保温が重要である。
・薬物治療
・手術治療
関節可動域運動、筋力増強運動、歩行練習など。
特に、ホットパックや渦流浴、超短波などの温熱療法によって疼痛や筋の痙性緩和を図る